2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧
もともとは いくさから逃れるために村を出た。歩いても歩いてもいたるところに、弔うものもないままの野ざらしの屍体があった。俺は、いつも腹をすかしていた。穴だらけのぼろの着物と、擦り切れた草履。行き倒れの死体が、生きている者の身に付けているもの…
一面に生い茂るススキの原を一兵士が泣きじゃくる両脇に子どもを抱えて分け入っていくところだった。両脇に抱えられた子どもたちは振り落とされまいと必死にしがみついている。強い向かい風が幾筋もの川の流れのようにススキの流れを変え、ススキの葉は鋭利…
LILIUM 「耳を澄まして 聞こえてくるでしょう? 兵隊の靴が響く いのちの期限が迫る音」 たくさんのツバメが 恋を歌う季節に たくさんの戦闘機が エンジンを全開にして 戦いの歌をうたった 1935-1945 いろんな国旗を まとった飛行機が 空中で弾け 散っ…