kaunisupuu mekiss

小さなお話や長いお話、詩のようなお話、時々他にも何か。

6月1日

 工事中の線路の下に見える盛り土の上に、光るものを見た。女の声と男の声とそれから、どこかで聞いたことがあるようなヒーリングミュージックと、電車が滑り込んでくるガタガタという音の中に立ちながら、ぼんやりとした視界に確かに一瞬、光を見たのだ。

 私の立つすぐ後ろには緑の柵が巡らされ、足元は電車が来ても来なくても、移動する人々の体重の移動に合わせて胎動のようにかすかな振動を感じる。ふと振り返り中央線の上りホームを見ると、久しぶりの日差しを浴びて青い小さなショベルカーがすまなそうに腕をたたんでちんまりしていた。